首都圏です。

スタートアップとサービス作り

市場か感情か

スタートアップを考えるとき、「なぜあなた(私が)がやるのか」という話題は確実に出てくる。思いがないと続かない。でも市場が悪ければ続かない。

 

思いの継続性について、この本のp44に書いてあるこの一文が記憶に残っている。 

小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード (ハヤカワ文庫NF)

小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード (ハヤカワ文庫NF)

 

 始めてみれば、興奮と興味が本物なのか、それとも言ってみただけなのかがわかる。

個人的にはいい市場があってやってみようってなったらやるでいい気がしている。なぜあなたがやるのですか?と言う質問は確かに大事だけど、子供の頃に夢中になった事って「これこれこんな体験があったからやりたいと思った」っていうより、見たものの姿形、感じたものの感覚、インスピレーションで始めて、合わないものもあれば合うものもある。それでいいような気がしている。

でも、これはあくまで投資家に頼らず自分でやるときの話。第三者を巻き込む場合にはきちんと説明できる必要はあると思っている。

だから、ワクワクから始まるエンターテイメントでエキサイティングさを優先したスタートアップは市場で、明確な世の中の課題や不都合がありどうしても成し遂げたい場合は感情なんだろうなと思った。正解はない。

 

個人的に面白いなと思うのは、化粧品の口コミ最大のサイトの@cosumeも、レディス服レンタルのairClosetも、みんなのウエディングも、みんな男性ってこと。そして@cosumeの株式会社アイスタイルの社長のインタビューを見ていたら色々と思いはあったとは思うものの化粧品業界の原価率の良さに目をつけていた。原価率が良いということは広告にお金が使えるということ。つまり、そこに市場があると思って参入しているということが書いてあった。

 

それに事業は世の中の流れとともに変わっていくだろうから、そういう意味でも思いは必要だけど、思い入れが強すぎないほうが案外強かったりするのかもな。

「感情あり×市場あり」が良いけどだけどなかなかそういうのってない。(更にうえをいく「感情あり×市場をなしで自分で作る」は至難)でも片方が揃っていれば、前に進めるってことなのではないかしら。

 

でも一方で市場感情とも離れてこんな考え方もありなのかもな。

けんすう氏が語る“遊びが仕事になる”時代の事業の作り方 - ログミー

遠くの親戚より近くの他人か、血は水よりも濃いのか

距離と家族は私の大テーマなので今日もこれについて考えてみたいと思う。

タイトルに答えはない。それが答え。もう家族というものが型化が難しいところまできているので一様には語れないのだ。ただ、ひとつ言える新しい観点として

・近くの親戚はどうなのか

・水は本当に薄いのか

というところ。これは少し逆説的なのだけど、近いと優しくなれません。近いと問題が起きます。血は濃い。だからこそ離れていないとその濃さにやられることがある。それは2016年摘発の殺人事件の55%が親族間である事の答えだと思っている。

遠いから優しくできる。他人だか優しくできる。それは事実だと思う。

私が思うに、自立後の距離は大切で(だから高校卒業したら家が近くても独立して暮らした方がいいと思う)、それによって保たれる尊厳やプライバシー、暮らす大変さからくる感謝があるはずだ。私の好きな本で、内田樹さんの「困難な結婚」という本があるのですが、

困難な結婚

困難な結婚

 

この中にこんな一文があります。(p132)

家族って本当に暫定的な制度なんです。それが「ふつう」は恒久的なものであるかのように「家族の一体感」とか言う人を僕は信用しません。だいたい、家族がほんとうに仲が良くて、敬意を以って接していたら、そういう家族はお互いに過剰に干渉しないで、必要なときだけ支援し合うという涼しい風通しのいい関係になっているはずです。(中略)

僕は家族の親密さを誇示するための行事をしょっちゅうやるような家族の一員であるよりは、ふだんは「好きにしなさい」と放っておいてくれて、遊びに行くと「よく来たね」とにこにこ歓待してくれるような距離感のある家族のメンバーでいたいですね。

 じゃあやっぱり近くは他人が最高なのかって言う話かというと、ちょっとそれは行き過ぎて、上の文でいう「必要なときだけ支援し合う」という、最後の砦が家族なのかなと。これは血が濃いからなせる技なのだと思う。

つまり、他人と家族は役割はそれはもう端と端くらい違う。だから比べること自体もナンセンスなような気がするのですが、普段は全く連絡取らない人から「助けてほしい」と言われたらなかなかすぐに首を縦に振れないけれど、家族だったら多くの人は、例え久しぶりの連絡だとしても力になろうと思う人が多いのではないか。

 

超漠然としているけれど、私はこの家族の距離をプロダクト化したい。最後に救うその瞬間を支えるものが作れれば。まだまだ先は長いけれど。

選ばなくていいことを選んでみるー【読書録】あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる/竹内健蔵

 交通経済学、公共経済学の専門の竹内健蔵さんの本。

この本は要は「機会損失」や「逸失利益について考えてみよう、って本でした。

 機会損失は簡単に言うと稼ぎ損ない、儲け損ないのこと。分かりやすいのは材料とか商品在庫がなくてお客さんに売れなかったとか。

逸失利益本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行不法行為が生じたことによって得られなくなった利益。本の中ではデートをすっぽかされたことなどが分かりやすい例として紹介されている。(バイトを断ってデートに行ったらデートをすっぽかされた。本来だったら稼げたのに、のような)

これを読んだ時に、スタートアップにこの考え方を活かすと良いのではないかと思った。スタートアップとスモールビジネスは違い(どちらが良い悪いではない)、継続的急進的な成長をする。その背景にはイノベーションがある。スタートアップはイノベーションを起こし、社会を変える。「新しいものを作る」か「今あるものを新しい使い方をする」とか「急激に捨て去る」などの様々なアプローチがあるが、何れにしても今社会に馴染んでいないものを社会に出すのだから、はじめから「うん、いいね。使う使う」と全員がなりにくい。

スタートアップのホームページを見ると、こんなことに困っていないですか?と例を挙げ、自社のプロダクトのよさを語り、機能の紹介、そしてコンタクトはこちらへ、とスクロール型のページが多い。この中に「選択しなかったことの未来」としてプロダクトを見せるのもひとつありなのではないかと思った。

特に、今はないものを始めるのであれば、カスタマーは実は困っていないことが多い。「あなたたちは困っていないと思う。だからあえて選ぶ必要はないのかもしれない。でも(我々の商品を)選択しなかった未来は普通だ」と言うメッセージも案外いいのかもしれない。

 

これはリクルートが提供する結婚式場探しのサービス、ゼクシィのCMのコピー。少し前に話題になったのを思い出した。

f:id:merontwo:20171012083629p:plain

ゼクシィCM 2017

これに近い感覚かも。選ばなくていいことを選んでみる。その感覚。それがもっと広まったら良いと思ったのでした。

 

毎日書くのは難しいなあ・・下手な文章ですみません。それでは。

【読書録】生涯未婚時代/永田夏来

家族社会学者の永田夏来さんの「生涯未婚時代」読了。

 

生涯未婚時代 (イースト新書)

生涯未婚時代 (イースト新書)

 

 私はIT業界に身を置くものなので、気になったところでいくとp46から始まる「生涯未婚時代とIT技術」という部分。以下抜粋。

ケアとパーソナリティの安定という家族の機能には様々な違いがありますが、前者は対面でいる必要があるのに、後者は必ずしもそうではないという点を踏まえておきたいと思います。コミュニケーションはテクノロジーの発達とともに変化してきましたし、現在でも変わり続けています。

 そもそも資本主義が勃興するようになったのも、蒸気機関や割販技術の発達により長距離移動や遠方からの情報伝達がこれまでになく容易になったことと関連しています。

 ちなみにケアもパーソナリティの安定も家族でしか機能しない訳ではないが、生まれ育った場所から離れて都会に出る人が増え、雇用されてサラリーマンとして働くようになったことで地域のつながり(行きつけのお店の常連仲間、同級生なども含め)などが弱まったのでこの機能は家族への期待が高まるようになっている。しかし、一方で家族にだけ従来の機能を維持させるのは難しい、と本書では書かれている。

 

私の人生テーマの中に「距離を超えるコミュニケーション」というものがある。離れて暮らすことでしか選択できないことが多くある。特に深く考えずにその時その時最適な選択を繰り返した結果、戻れなくなっている状況も多くある。(むしろ後者の方が多いのでは)

距離を超えた家族機能の維持・充実を技術を使って(技術はhowなので使わなくてもいいのだけど、出せるものがそれなので)何かできないか。でも世代によってデバイスは異なる。ON-OFF空間をつなげられるものは何か。とても難易度が高いことだと思う。

プロダクトはターゲットや市場が重要だ。ターゲットは絞られているほどいい。しかし、家族というターゲットは難しすぎる。家族の中にはその家の常識があり、年代も性別も構成もごちゃまぜである。全部は一気にできいないだろうから、やっぱり絞っていくのだろうな。家族で一番困っているのは誰だろう?って。

 

少し話は逸れてしまったが、本自体は1日でさっと読める読みやすさがある。幅広い情報があり、「年齢によって人生が規定される風潮が日本には強すぎる」と硬直的な横並び文化をもう一度考え直そう、という投げかけに共感した。家族社会学を身近な部分から少し学んでみようかと思う時に入門として入りやすい新書だと思います。

 

オープンな人たちへの対価

必要あって追加の仮想サーバのセットアップをしていた。色々なミドルをインストール、設定している中でどうにも上手くいかないことがあった。もともとのアプリ開発側なのでインフラやネットワーク関連は調べながら。基本的にはやったことがないから出来ないっていうより、今の時代原理ベースの判断とある程度のソースがあれば調べればどうにかなる説でやっています。(実際だいたいどうにかなってきた)

今回もMySQL5.7設定完了後に動かした時にSSLが有効にならない。いろいろ調べてopensslを使って初めてSSL証明書作ったりした。だいたい技術的なことというのは勉強では概念レベルでしかわからないのでこうやって出会って片付けてを繰り返して原理に納得感をつけていく。

これができるのは、結局今、インターネットがあるからで、その上に自分のコケた経験を公開してくれるエンジニアたちがいるからだ。ググれば見つかる、はそういう人たちがいるから成り立っている。改めて感謝。

しかし、じゃあわたしが今回のこれを人に分かりやすい形でここにあげるかというと、なかなかそこまでできない。感謝は回した方がいいので本来であればやるといいのにできないのは、仕事中なのでブログを更新するわけにもいかないし、家に帰ってきたらその環境にはアクセスできないし、それに見せるからには分かりやすい形にしようとか思い始めてしまうとハードルがどんどん上がっていく。

でも、わたしのように助けられている人は多いと思う。エンジニアの世界は他に比べてオープンだと思うのだ。OSSの存在を知った時、わたしは結構びっくりした。OSSに助けらているスタートアップもたくさんあるはずだ。資本金が少なくても早く良いサービスを作れるようになった背景にOSSの存在は大きい。昔に比べてハード投資の金額が格段に下がったとか、そういうのもあるんだけど、ここは外せないと思う。

今回改めて思い直してこういう仕組みって本当にいいなって。今は一人一人がブログとかで書いているけれど中央的に見れるみんなの技術ログみたいなところがあると便利な気がした。そしてオープンな人たちへ賞賛の対価を可視化できればいい。

 

やりたいことばかり頭に浮かんで体がたりない・・

競合ボーダレス

一昨日見かけた tweetで驚いたのが、これ。

f:id:merontwo:20171005212003p:plain

転職先を探すときにtwitterで自ら募集し、そしてそこに多くの企業からのコメントが。やはりスタートアップが多いとは思うものの新しい形だなと思った。転職サイトやエージェントの競合は身近なところばかりではない。(中の人はとっくに気づいているとは思いますけれども)

とは言っても一部の人に限られるだろうが、何かで発信をしている人だったら決められた履歴書に書かれた内容より正直信頼できるソースになる。

 

転職活動はもっと形が変わっていくだろうと思う。というか、最近は本当に競合を見つけるという難易度が上がっていて面白い。それだけ企業というものがボーダレスというか、「もの売り」から「価値売り」にシフトしたということ、なのかな。

 

毎日書こうと思っているのに、早速昨日途絶えた・・・

左脳を使わせたらクリックできないーairCloset新事業「pickss」

airClosetは流行りのレンタルファッションサービスだ。プロのスタイリストがコーディネートして1回あたり3着、月額約10000円程度で借り放題。(3着1回を返却すると次の3着が届く)ウェイト会員もいたほどユーザの興味を惹きつけたサービスが新たな形態として「pickss」というパーソナルスタイリング提供システムを開始した。

「pickss」はスタイリストが選んだ服5点が送られてきて好きなものを購入し、不要なものは返却する。現在取り扱いのブランドはユナイテッドアローズ、AnotherEdition、JewelChanges(ブランドは異なるがすべて株式会社ユナイテッドアローズ)。

ターゲットはどこの層かが難しい。なんとなく20代〜30代女性というのはわかるが、ペルソナレベルまで落とすとイメージがつくにくい。でもそれはさておき、不思議な感覚になったのがこれ。価格表です。

 

f:id:merontwo:20171003232751p:plain

 

20代女性を狙うのであればこの価格形態は響かない。airClosetはおそらくユーザのために考えに考えた価格体系だと思われる。しかし、一見2800円というわかりやすい数字が並んでいるが、これの図はとても分かりにくい。分かりにくいというのはユーザが「これはやってみよう」という判断の誘導にならないということだ。

原因は何かを考えたところ、まず第一に大前提としてユナイテッドアローズの商品価格を知っている必要があること。ユニクロであれば1点購入したら2800円offされるともしかしたらタダで手に入るかもしれないが、もちろんそんなことはない。(だいたい10000〜30000円程度が多い)

そして第二に結局いくらお得なのかが計算をしないとわからない。そもそも「お得さ」を狙おうとしたら皆ZOZOTOWNのセールに行っている。となるとpickssの価値となるのが「プロのスタイリング」ということになるが、納得いくものが届かない場合に返送料はairCloset負担となるが、スタリング料2800円はかかるのだ。

この2800円は曲者である。私たちは今、プロのスタリングの相場を知らない。さらにプロのスタリングを受けたことがある人はそう多くないだろう。この知らないことの多い中での購買判断はかなり難易度が高い。なので、おそらくairClosetほどユーザに響かないのではないか、と踏んでいる。

ちなみにairClosetは1回あたりの3着合計が2万円台のこともあれば4万円になることもある。この差分はairCloset側で持っていることになるが、pickssの場合はユーザが背負う。つまり、10000円の服が送られてその服を買おうとした時と20000円の服が送られてきてその服を買おうとした時では両方とも2800円の値引きが受けられるが、値引き割合で言うと10000円の方が得した気分になるだろう。(そんな単純でもないかもしれないが)

 

いろいろ書いてしまったが、要はサービスを右脳で楽しみにたいのに左脳を使わせるから手を出したくなくなるのだと思う。私たちはやっぱりスタートアップにはワクワクを求めているのだから。(ちなみに私はairCloset利用者でサービスを応援しています)