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【読書録】生涯未婚時代/永田夏来

家族社会学者の永田夏来さんの「生涯未婚時代」読了。

 

生涯未婚時代 (イースト新書)

生涯未婚時代 (イースト新書)

 

 私はIT業界に身を置くものなので、気になったところでいくとp46から始まる「生涯未婚時代とIT技術」という部分。以下抜粋。

ケアとパーソナリティの安定という家族の機能には様々な違いがありますが、前者は対面でいる必要があるのに、後者は必ずしもそうではないという点を踏まえておきたいと思います。コミュニケーションはテクノロジーの発達とともに変化してきましたし、現在でも変わり続けています。

 そもそも資本主義が勃興するようになったのも、蒸気機関や割販技術の発達により長距離移動や遠方からの情報伝達がこれまでになく容易になったことと関連しています。

 ちなみにケアもパーソナリティの安定も家族でしか機能しない訳ではないが、生まれ育った場所から離れて都会に出る人が増え、雇用されてサラリーマンとして働くようになったことで地域のつながり(行きつけのお店の常連仲間、同級生なども含め)などが弱まったのでこの機能は家族への期待が高まるようになっている。しかし、一方で家族にだけ従来の機能を維持させるのは難しい、と本書では書かれている。

 

私の人生テーマの中に「距離を超えるコミュニケーション」というものがある。離れて暮らすことでしか選択できないことが多くある。特に深く考えずにその時その時最適な選択を繰り返した結果、戻れなくなっている状況も多くある。(むしろ後者の方が多いのでは)

距離を超えた家族機能の維持・充実を技術を使って(技術はhowなので使わなくてもいいのだけど、出せるものがそれなので)何かできないか。でも世代によってデバイスは異なる。ON-OFF空間をつなげられるものは何か。とても難易度が高いことだと思う。

プロダクトはターゲットや市場が重要だ。ターゲットは絞られているほどいい。しかし、家族というターゲットは難しすぎる。家族の中にはその家の常識があり、年代も性別も構成もごちゃまぜである。全部は一気にできいないだろうから、やっぱり絞っていくのだろうな。家族で一番困っているのは誰だろう?って。

 

少し話は逸れてしまったが、本自体は1日でさっと読める読みやすさがある。幅広い情報があり、「年齢によって人生が規定される風潮が日本には強すぎる」と硬直的な横並び文化をもう一度考え直そう、という投げかけに共感した。家族社会学を身近な部分から少し学んでみようかと思う時に入門として入りやすい新書だと思います。